初心者は注意!「左右対称」にどう取り組むか?
アレクサンダーテクニーク教師の山口裕介USKです。
さて今日はドラマーとのレッスンより。
「左手の音が右に比べて詰まった音になる。両手を同じように、左右対称にしたい」
いろんな楽器の方がレッスンに来てくれますが、同業のドラマーが来てくれた時が一番緊張します(笑)
さて、今回のお悩みは両手を均等に「左右対称にしたい」ことです。
よく耳にする言葉の1つだと思います。
たしかに左右のバランスをコントロールできるほうが出したい音や表現の幅は広がります。
楽器演奏をする方で気にされている人は多いです。左側だけに体重をかけた無理な姿勢は避けたいとか、音によって左右の動きの差が出てしまうなど。
取り組むのはいいけど、注意しておきたいことが出てきたので、今回はそんなレッスンよりお届けします。
左右対称への思いが強すぎる結果・・・
今回気になっているフレーズをまず練習用パッドで叩いてもらいました。
たしかに腕の振りの左右の違いはあるけど、そこまで差はない。
それよりも!!
僕が興味をもったのは腕の動きよりも「取り組み方」でした。
右手じっくり見たかったからなのか、
・目がしっかり開いている
・顔が前に出る
このように腕よりも気になる動きをしてたんですね。
次にドラムセットで課題とされてるフレーズを見せてもらいました。
そうすると、さっきよりも目は「カッ」となってるし、顔はもう少し前へ出すような動きになっています。
話を聞いてると、ドラムセットになるとどうしても左手の動きを揃えたい気持ちが強くなって腕の振りばかりを意識しちゃうようです。
左右対称でなく「音」で判断する!
さてここで腕から意識を遠ざけるためのアイデア。
「音で判断」すること!!
生徒さんは左手だけのことに気を取られています。身体の一部に意識が向きすぎると他の身体のことを忘れるので全身で動くことから離れてしまうんですよね。
だから!!
「出したい音が出ているかで判断してみてはどうか!?」
そう伝えてから演奏してもらうとなんともまあ見事に!
さっきよりもグッとばらつきが減って音色も良くなりました。左右の腕の動きには大きな差はなく、というか腕の振りはよりスムーズに動いてました。
本人も気にならずにできたと喜んでくれてます。
腕の感覚を探りにいくことをやめて、音を聞くことへ意識を変えたことがうまくいったみたい。
腕の仕組みや使い方を教えることでも改善はできるけど、発想を変えることでここまで気持ちの良いの演奏はできるわけね。
わざわざ新しい動き方を覚えなくても、まだまだやれることがあると思うので今回はこのような流れになっています。
それと注目したい動きが!
耳を使うので腕を必要以上に見るのも減って、顔が前に出ることはなくなりましたね。この顔が前にでるのは少ない方が良いと思っているので狙い通り!
その理由はこの記事が参考になります。
平面で見る→「立体的」に見る身体へ
また左右対称について考えさせられることがあります。
そもそも「身体は左右対称でないとダメ」と思い込んでいるのではと疑問を持ったことが解決へのヒントとなりました。
正面から見ることで左右に差があるのは鏡を見たら分かりますね。
でもそれはあくまで平面で見た身体です。
身体はもっと3Dで立体的なものやし、左右だけで考えるのはもったいないかな。
正面だけで考えることはやめて、前後左右、上下左右、目だけでなく耳を使うとか、いろんな角度からも自分を見ていくことで、この左右対称への思い込みはほぐれてきます。
それと最終的には「音色、表現」のためです。
左右対称に取り組むのはいいけど、本来の目的を忘れてしまっていることから、緊張が生まれて身体の感覚の虜になってしまうので要注意ですね。
では今日はこの辺で!
最後までありがとうございます。
山口裕介USK