「緊張した時の震えを減らすための対策」ボーカリストとのレッスンより
どうも、アレクサンダーテクニーク教師の山口裕介USKです。
今回はボーカルの生徒さんとのレッスンの一コマより。
<生徒さんの悩み>オーディションで緊張して震えないようにしたい。震えてくると演奏に集中できないまま進んでしまう。どうしたら震えないかを教えてほしい。
緊張した時に身体に起こることは見事に不安を与えてくれます。震えはよく耳にするし、よく体験します、僕はけっこう多い方です。
あと「震えてる!」と指摘されるのは「かっこ悪い、見られたくない」とマイナスポイントと思いがちです。できれば震えとは上手に付き合っていきたいものです。
震えの対処方法は「逆らわずに声に出して受け入れること」
震えが来ても逆らないこと、そして声に出すことです。
頭の中で言うのではなく、実際に自分に聞こえるように声に出します。
①まず震えについて。
震えるのは緊張する場面ではけっこう起こることです。
震えるくらい身体はこれからのチャレンジに必要な状態にしてくれてるわけなので、震えてるからといって悪者扱いにするのはやめてあげましょうね。
②次に声に出すこと。
これはホンマに声に出してやってみてほしい。
「腕が震えてきた」「脚が震えてるなー」「声が震えているね」
自分の耳に聞こえるように声に出すこと!場面は限られるから、本番前の楽屋や舞台袖でもやれるように覚えておくと便利。
自分に聞こえたらいいので、小声でも聞こえてたらOK!
コツとしては、「腕が震えてる、嫌やな」はNG。震えに対しての評価や感想はなしで、「腕が震えてるな」と起きてることだけ繰り返し言ってみること。
ただ震えてるだけ、それ以上は現時点ではないのよ。そこに評価を混ぜるから妄想が膨らんで、「ミスしたらどうしよう」と会話が弾んじゃうから要注意です。
僕が実践した時の話
大阪芸術大学の非常勤講師をしていた時、入学時のガイダンスで自己紹介とクラスの説明をする場面がありました。
担当するクラスはポピュラーダンスコース。もちろん僕は踊れませんし、知り合いもおりません。教師陣がずらっと並んで座るんですが、みんな普通のスーツじゃなくて、衣装みたいにキラキラした教師陣。
アウェイ&ビビりが発症して、震えがじわりじわりと大きくなってくるのが分かる。
クラスの説明は月曜1限からと言われ、それは僕の授業です。
準備する間もなく立って、名前とクラス名は言えたものの、声は震えるわ、足はガクガク。
が、ここが見せ所。
①震えに逆らわず、②声に出すを実践しました。
USK「何人か気づいてると思うけど、僕の声は緊張で震えてますよね。脚も震えているので見れば分かると思います。緊張するとこういうことになります。」
全く逆らわずに受け入れて、それを声にだして生徒へ伝えました。すると自分でも嬉しい結果になりました。
USK「でも、今の僕の声はどうでしょうか?震えてないですよね。脚の震えは見えないほど少なくなっています。」
「私の授業はこういうことを学びます!」スッと座る(ドヤ顔)
ぶっつけ本番でやったので、どうなるかわからんかったけど、実践で震えてるのをやめられたし、そのプロセスも見せられたので結果オーライでしょうかね。
それと、目の前の生徒をしっかり見て話をしたのも後押しになりましたね。
空間全体を含めることができて視野も広くなったので、声も出しやすくなっていました。
なんかうまくいきすぎて、座った後に緊張が最高潮になって、他の先生が誰で何の人なのか全く聞いてませんでした。すみません。
0を目指すのではなく、少し減らせられれば十分!
さてこの経験を経て、自信をもっていえるのが震えを0にできたかではなく、気にならない程度にまで減らせられるか?
これが現実に近い考え方なので大事なポイントです。
震えを0にしようと考えているなら、現実的ではないから労力かかるし、余計に緊張する。そこにエネルギーを注いでる場合ちゃうしね。
震えに8割の気持ちがもっていかれてるなら、半分でも減らせられたら6割は他に回せますね。
震えをやめたいのが目的じゃなくて、もっとやりたいことがあるわけ!それが次のことです。
震えが気にならない「演奏に集中できる未来」へ
震えが気にならないということは?
最初に生徒さんが望んでいた「演奏に集中することができる」ですね。
震えを気にしていると、それに紐づいて悪い感情が起こりやすいものやけど、それもストップできますね。
演奏に集中できるからこそ、今の環境や状況が把握できるようになります。
これはプレーヤーにとってめちゃくちゃ大事!!
今何が起きてて、何が見えてて、何が聞こえてるか?
練習とは違って本番は何が起こるかわからない場やからこそ、その場の状況に合わせて対処できるように、情報が集められることが求められるのよね。
自分ばっかりに集中してたら、自分の番号を呼ばれてることさえ聞こえないなんて最悪ですもんね。
それとこの方に伝えた話がもう1つ。
オーディションとはいえ、あなたの音を届けることはライブやコンサートと同じですね。
「どんな音楽をしたくて、どんな音楽を届けるのか?」
オーディションまでにいつも考えて悩んできましたよね。
震えが気にならないことで、準備してきた演奏や思いを伝える集中できる環境作りができるようになります。
レッスン中にこの話をして、セミナー参加者さんに審査員役をやってもらい模擬オーディション。
①逆らわずに②声に出すを実践しながら演奏してもらいましたが、最初は震えてた腕と口元がスーッと減っていって、歌に集中できて気持ち良さそうに歌われてました。
あくまで模擬オーディションやけど、実際にこのプロセスのリハをしておくことは大きなサポートになると思います。
ちなみに結果なんですが、この生徒さんから「オーディションでは震えのこと忘れてました」ってLINEが来ましたわ(笑)
楽しそうな文面やったので、これはこれで良しやね。
今日も最後までありがとうございました。
ほなまた!
山口裕介 USK