演奏に集中するための取り組み方
どうも!
アレクサンダーテクニーク教師の山口裕介USKです。
今回はバイオリンをされている方とのレッスンでのお話です。
演奏しにくくなっているのが集中しようとした時に起きている。
しっかり自分のことを観察されてますね、素晴らしい!!
今回は「集中する」はどうやって達成しようとしてるのか?と興味が湧いてきたのでそこからレッスンはスタートしました。
「マジメに」になろうとしてない?
演奏に集中することを意識しながら演奏するのをどうやって取り組んでいるか実際に見せてもらいました。
何を考えているかはわかりませんが、見えた動きは次のようなこと。
・背筋をのばす
・胸を張る
・あごをあげる
・息をたっぷり吸ってふぅと吐く
・そのあとに息をとめる
・比較的遅いスピードで楽器を構える
・眼の周りに力をいれて演奏する
これが集中しようとした時に起きていた動きの情報です。
「どうでした?」と聞いてみたら「弓が思うように動かなくて音が綺麗に鳴らない」とのこと。
そこで僕から上に書いた動きをしていたと伝えました。
動き方が良い悪いの話をするつもりはないねんけど、気になったのは動き全体を通して何かしらの「張り」を作ろうとしていること。
USK「マジメにやらなあかんって思ってないかな?」
生徒さん「しっかりやろうと意気込んではいるかもしれないですね。マジメになるってわかる気がします。」
マジメにやるのはいいのですが、身体に張りを作って緊張させることは、集中よりも前に演奏しにくいんちゃうかと思ったわけです。
「やってる」感じは力みになる!?
もう1つ気になったのは「やってる感」。
身体に張りを作ることで「感じ」を得やすい。この感じを無意識に求めてしまいやすいものですわ。
集中できてるかは「こんなに時間が経ってた」とか後で分かってくるもんやけど、どうしても体感したくなると、この「感じ」に頼ってしまったり。
めっちゃ頑張った感じがしても結果があんまりやったり、頑張らずにスイスイ進めてきた時ほど結果が思った以上に良かったり。
どうも「感じ」だけを頼りにするのは考えものです。
それに「やってる感」は必要以上に身体に力を入れて作ってしまうことが多いんです。力みを作りかねないので頭の隅に入れておきたいところです。
「集中」を直接コントロールするのは諦める
今のやり方で直接的に集中を起こそうとしてもうまくいかないのが見えてきました。
これはやる気を起こさせるのも同じで、直接的にアプローチしても動いてくれないもの。
「結果的に集中しやすくなるためには何をしていけばいいか?」
とりあえず取り組める1つのことから進めてみました。
演奏のために必要なことに意識を向ける
例えばですが、本番前に準備運動をしようかなという時に、離れたところからめちゃくちゃ良い音で上手い演奏が聞こえてくると・・・
周りがみんなリラックスしてて余裕そうに見えると・・・
「どうしよ、自分は大丈夫かな。」と周りを気にするモードになりやすいのが本番前でもあります。
周りに影響されることを防ぐためにも、自分のリズムで何をどれくらいやろうかと意識して取り組むための行動を決めておくこと。
自分が必要なことだけに意識を向けることですね。
この視点から考えて今回は次のことを試しています。
当たり前のことを1つずつ進める
最初に集中しようとした時に起きていて動き、背筋を伸ばすとか胸を張るがありましたね。
これを「出したい音のためにどんな行動をしていくか!?」に考えをシフトしていきます。
やるべきことが沢山と感じると大変なので必要な動作を細かくしていきます。その方が達成感も得られやすいから「ひとつずつ」進めていくことにしました。
・バイオリンを持って立ち
・左手を使って楽器を首元に持ってくる
・あごを置く、挟む
・右手で弓を持ち上げて
・弦の上に当てる
・演奏空間が見えるように視野を広げて
・両手を使って音を出す
集中するためを一旦忘れてもらって、当たり前の行動を1つずつ声に出しながらやってもらいました。
しばらく演奏してもらうと生徒さんが、
「音が鳴り始めた後は自然と音楽の方へ気持ちが入っていけますね」
この結果も含めて考えてたのは、「集中するためには何かしらの対象」が必要だということ。
ただ集中するだけでは難しくて、何か対象を用意すること。
それと、その対象へ向かってどんな行動をしていくのかを具体的にする。
良い音で演奏するために1つずつどんな行動をするか?
集中とは何かを語るには僕にはまだ大ごとですが、これが集中するためのプロセスの1つかなと思っています。
ここで注意!「集中できてるかな??」のチェックはあかん
さて集中するには対象を用意して、そこに向かうまでの行動を1つずつ進めていくこととしました。
この行動を進めてる最中にやったらあかんこと!
「集中できてるかな?」のようなチェック作業です。
2つ注意点があります。
①チェックはさっき起きたこと「過去」のことを探しにいく行動。
②ちゃんとできてるか?と良い悪い判断思考にアクセスしてしまう。
前に進むための行動に過去を連れてきてしまうわけです。
珍獣「チェックちゃん」を背負い続けて前に進むのは困難極まりない。
ステージ上でやることちゃうしね。
過去を振り返りたいなら、家に帰って温かいお茶でも飲みながら安全な場所でゆっくり振り返りましょう。
ということで、集中するについてレッスンで取り組む中で色々ぼくも整理されてきましたが、まだまだプロセスは様々です。
緊張に引っ張られないように集中できることに目を向けるのはすごく良い取り組みだと思いましたね。
緊張は集中することで適度にバランスをとっていける。
今回来てくれた生徒さんも集中するの誤解が解けて音楽に気持ちが入れられるようになったと言ってくれたのは心強い言葉になりました。
引き続き、いろんな角度から音楽を楽しむためのアイデアが出るように勉強していきます!!
ではこの辺で。
最後までありがとうございます。
ほなまた
山口裕介USK